締め切りと花粉と「体感7割」でできた今週

Three women professionals sitting in a modern office, focused and working together. 編集部コラム
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「これ花粉のせいですかね、それとも締め切りのせい?」

タケルがパソコン画面から目を離さずにそう言ったのは、確か水曜日の午後だった。花粉症の記事を書いていたら、自分の目がかゆくなってきたらしい。

両方じゃない」と私は即答した。

タケルは「あ、そっか」と妙に納得した顔をして、また画面に戻っていった。それで解決なのか、それでいいのか、という話なんだけど、まあ今週はだいたいそういう感じだった。

「7割」という数字は根拠なのか体感なのか

ミズキが「入学準備グッズの7割はネットで買えます!」と興奮気味に原稿を送ってきたのは月曜日の朝だった。

コウタが「7割って根拠は何ですか」と速攻で返信した。

体感です!

ミズキの即答があまりにも清々しくて、私はコーヒーを飲もうとしてたのにちょっと止まってしまった。体感。そうか。体感か。

ハルが静かに「調査データで近い数字がないか確認してみます」と言って、しばらくしたら「だいたい合ってますね」と戻ってきた。あの人がいなかったら今週何本の記事が宙ぶらりんになってたか、考えたくもない。

ちなみにタケルも同じ週に「捨てる袋を7割削れました!」と興奮して報告してきた。

それ、1回試しただけじゃなくて?」とハルが静かに聞いた。

タケルが言葉に詰まったので、私が「でも体感として削れた感じがあるなら書いてみよ」とフォローした。今週の私、わりとフォロー多かったと思う。

「それ、記事に入れなよ」が即決された瞬間

タケルが「名前付け」の記事を書いていた。入園・入学前の持ち物に名前を書く、あの地獄の作業の話だ。

「ぼく、子どもの入園前日に泣きそうになったんですよ」とタケルがぽつりと言い出したのは、打ち合わせが終わりかけたころだった。

「え、なんで」とコウタが聞いた。

「なんか……名前全部書いたら急に現実になって。もう保育園行くんだなって」

ハルが「……それ、記事に入れなよ」と静かに言った。ハルにしては珍しく即決だった。

それが一番刺さるよ」と私も笑いながらGOを出した。元テレビADの勘みたいなもので、こういう「うっかり本音」が読者には一番届く、ってずっと思ってる。

タケルは「え、恥ずかしいんですけど」と言いながらも、結局ちゃんと書いてくれた。完成した記事、個人的に今週一番好きだった。

「スクリーンショット312枚」は実話だった

ミズキから「スクリーンショット312枚って実話なんですけど記事に入れていいですか」というメッセージが来たのは木曜日だった。

正直、最初は半信半疑だった。312枚。そんなことある?

「ちょっと見せて」と言ったら、本当に312枚あった。何かのアプリの画面を順番に撮ったものが、スマホのアルバムにびっしりと並んでいた。

それ絶対入れて」とコウタが即レスした。私も同意した。「信じられないけど実話」って、読む側からしたら宝みたいなもんだと思う。

ミズキは「やっぱり変ですかね」と少し心配そうだったけど、「変だから良い」と伝えた。変というか、そこまで丁寧に作業してたってことでもあるわけで。元カスタマーサポートの几帳面さが出てるんだろうな、とちょっと微笑ましかった。

通勤コーデにクリーニング中の服が混入していた件

ミズキの通勤コーデ記事の原稿を読んでいたら、本文の中に「今週のコーデはこれ!(※クリーニング中のジャケットが含まれています)」という謎の注釈が入っていた。

それ実体験?」と私は聞いた。

「はい。撮影してから気づきました」

思わず笑ってしまった。コーデ記事を書くために過去の写真を漁ったら、クリーニングに出してた服が写ってた、ということらしい。着られないのに「今週のコーデ」として紹介してしまった、と。

ミズキは「消しますか」と聞いてきたけど、「消さなくていい、それが一番おもしろい」と返した。失敗談って、読者が一番ほっとするやつだから。

カーテンを3日間買い忘れた話で、編集会議が30分止まった

今週いちばん編集部が止まったのは、ミズキの「カーテン買い忘れ3日間」の話だったと思う。

引っ越し記事を書いていたミズキが、「私、カーテンを3日間買い忘れてたので、その失敗談を入れてもいいですか」と送ってきた。

「それ本当にあったの?」と私が聞いた。

「もちろん」

「……3日間、どうしてたの」

「窓際に段ボール立てかけてました」

その後30分、編集会議が止まった。コウタが「段ボールって何枚?」と聞き、ハルが「建物は何階でしたか」と確認し、タケルが「うちも引っ越しのとき似たようなことあった」と話し始めた。

私は途中から「もうこの会話自体が記事になるんじゃないか」と思い始めていた。こういう脱線が、一番楽しい。

ちなみにタケルはその流れで給食センター時代の話を始めた。「筍の下茹でって、給食だと倍量を30分でやってたんですよ」と。

家庭料理の話してください」と私は即返した。

タケルは「あ、ですよね」と言ったけど、その後もちょくちょく給食センター話が顔を出してきた。本人、かなりその仕事が好きだったんだと思う。嫌いじゃないんだけど、ここは家庭料理メディアなんで。

タケルが「273個数えた」と言い出した件

名前付け記事の取材で、タケルが持ち物の数を実際に数えたらしい。

「273個ありました」と報告してきた。

「……それ数えてる時間で、10個貼れたよね」と私は返した。

タケルが「た、確かに」と固まって、ハルが苦笑いしながら黙って校正を始めた。コウタは「でも273って数字が出ると説得力あるし!」とフォローした。

どっちも正しいんだよな、と思いながら見てた。正確な数字を出すことへの執念と、その時間で手を動かせって話と。まあ実際、記事に「273個」って書いてあると読者は読む。コウタの言う通り。数字って、それだけで信頼感が生まれる。

結局その数字は記事に残した。タケルが数えた272分(たぶん)は無駄じゃなかった、ということにしておく。

「私も使いたい」と言える編集部でいたい

ミズキが引き継ぎ資料の記事を書いていたとき、「3ブロック構成にしたんですけど、これわかりやすくないですか」と送ってきた。

読んだら本当にわかりやすくて、「私も使いたいこれ」と返した。

ミズキが「えっ、本当ですか」とちょっと嬉しそうだったのがかわいかった。得意げになってるのが画面越しでもわかった。

こういう瞬間が好きだな、とふと思った。教える側とか管理する側とかじゃなくて、一緒に「これいいな」って言い合える感じ。元テレビADのころ、先輩に「それ、どうやったの」って聞かれたとき、すごく嬉しかった記憶があって。あれが忘れられないから、気づいたら自分もそうしてる。

花粉か締め切りかわからないまま目をこすり続けるタケルと、体感7割を迷いなく出してくるミズキと、静かに全部チェックして丸く収めるハルと、「絶対入れて」で毎回盛り上がるコウタ。

今週も、なんとか乗り越えました。

来週も誰かが何かをやらかすと思います。正直、楽しみにしてる。

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