この編集部、ちゃんと仕事してます(たぶん)

Group of professionals having a casual meeting in an office setting in Lagos. 編集部コラム
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「足湯って何度が正確なんですかね」

ハルがそう言い出したのは、水曜の午後2時ごろだった。原稿チェックの手が止まって、気づいたらいろんなサイトを開きはじめてる。

「え、何の話?」
「足湯です。40度って書いてある記事と、42度がいいって書いてある記事があって……」

30分後、ハルはまだ足湯の温度を調べていた。

仕事してます、うちの編集部。一応。

ハルの「足湯30分」と、私たちの日常

ハルは元国会図書館の司書で、うちの校正・校閲担当なんだけど、この人の「ちょっと調べてみます」は本当に信用ならない。一度気になったことが止まらなくて、「…と言われていますが、実はこうです」って言いたくなる体質なんですよね。

今週それが爆発したのが「足湯の温度」だった。

きっかけはタケルが書いた記事の一行で。子育て中の夏バテについて書いた原稿に「足湯でリカバリー」みたいな記述があって、それに対してハルが「温度の根拠、調べていいですか?」って言い出した。タケルは「え、40度くらいって書いとけばよくないですか」とのんきに返してたけど、そういうことじゃないんですよね、ハルにとっては。

タケルの記事自体はよかった。去年子供が生まれて、今年はじめての夏を親として過ごしてみたリアルな話で、「赤ちゃんを抱っこしながら熱中症対策をする人間のキャパシティ、マジでゼロになる」みたいなことが書いてあって。私が「説得力ある、GO」って即答したやつ。取材ゼロの実体験系が強いのはこういうときで、子育て中の人に刺さる記事ってたいていこのパターン。

その記事に「豚汁カップ」の話も出てきたんだけど、ハルはそっちの成分表も30分にらめっこしていたらしい。カップ味噌汁のナトリウム量に対して「これ、脱水中に飲むのはどうなんでしょう……」ってつぶやいてて、もはや何の記事の校閲なのか分からなくなってた。でも結果的に正確にはなるから、まあいいんですよね。ハルがいると記事がちゃんと締まる。30分は溶けるけど。

ミズキの「自分用リスト」が普通に記事になった

「各ECの返品条件、自分用に一覧表にしてるんですよね」

ミズキがそう言い出したのは編集会議のあとで、雑談のノリだったんですけど、ハルが即「それ記事にしたら?」って言って。私も「そのズボラ目線、刺さるわ」と思って即GOを出した。

ミズキの面白いところって、自分が当たり前にやってることをそのまま記事にしちゃうところで。「まだ手作業でやってるんですか?」って言う側の人間なので、”知ってて当然”で書いた記事が、読者にとっては「知らなかった!」になる。このギャップが強い。

で、後から聞いたら「記事書くまで自分も設定ちゃんとしてなかった」って爆白してきて。

記事を書いてはじめて設定したことが、確定した瞬間でした。

ハルが素早くスクショを撮って、私に「実体験ライターとは」ってメッセージを送ってきたのは笑った。ミズキ本人には見せてないけど、この話は一生使います。本人がこの記事を読んで気づくかもしれないけど、まあいいか。

タケルの「何もしたくない日ランキング1位」は没になりました

「何もしたくない日ランキング1位を作ってみたんだけど」

タケルがこれを言い出したのは朝のMTGで、私が「それ記事に使えないから」って即答したら、ちょっと傷ついた顔してた。

でも使えないじゃないですか、正直に言って。

ランキング1位だけ作って何を伝えたいの、2位以下は? ってなるし、「何もしたくない日」って感情に寄り添うのはいいんだけど、それって時短ラボのコンセプトと噛み合うのか? って話で。タケル本人は「共感記事になると思って」って言ってたけど、共感で終わったらうちの媒体じゃなくていい。「何もしたくない日でもできる時短術」とか「そういう日こそ仕込んでおくルーティン」に変換できれば記事になるんだけど、「ランキング1位だけ」の段階では素材でしかなかった。

ただ、そのあとに出てきた夏バテの実体験記事はよかった。タケルのアイデアって、磨けば刺さるやつが多いんですよね。「うちでもやってみたんだけど」って言い出すやつは、ちゃんと実体験として積み上がってるから。

リンが、じゃなくて私が「使えない」って言ったことをバネにして、ちゃんと別の角度から出してきたのは素直によかったと思ってる。

「わたしのリスト、そのまま公開していいですか?」事件

さっきのミズキのリストの話に戻るんだけど、「わたしのリスト、そのまま公開していいですか?」って言ってきたとき、私は「見てから判断する」って答えたんですよ。

で、ハルが先に見て、私に送ってきたメッセージが「これ食生活大丈夫ですか?」だった。

リストの中に、アイスとお菓子の購入記録が想定の3倍あった。

ミズキのリストって、返品条件の一覧のはずが、どこのECで何を買ったかの記録も兼ねていたらしくて。その中にコンビニスイーツの購入記録がぎっしりあって、ハルが「週に6回……」ってつぶやいてた。画面越しでも漂ってくる静かな心配感。

本人的には「便利なものを把握しておく」だと思うんだけど、外から見るとまあそうなりますよね。

リストはその部分を抜いて使いました。本人に「ここ使えないから削ってください」って伝えたら「あ、それ私生活すぎますかね」って返ってきた。そうです。EC返品条件の記事にアイスの購入頻度は要りません。

ミズキが実演を始めて、原稿より先に終わった

今週の締めはこれです。

ミズキが「自動アルバム機能、実際に試したら30分で終わりました!」ってLINEのグループに投下してきたんですよ。唐突に。原稿を送る前に。

私が「先に原稿送ってください」って返したら、「あ、でもこの機能がすごくて、〇〇して△△したら□□になるんですよ、しかも◇◇の場合は……」ってしゃべりだして、全然止まらない。テキストなのに熱量がすごい。

ミズキって元ITカスタマーサポートなので、操作の説明が上手いんですよね。わかりやすい。ただ、原稿より先に実演が完結しているのは、さすがに困る。

「それ、原稿に書いてください」って言ったら「あ、そうですね」ってなって。30分後に届いた原稿には、あの実演の熱量がちゃんと乗ってた。あのテンションを文字にしてくれればそれでいいんですよ、うちの媒体は。

結果的に「実際にやってみたレポート」としての説得力が出て、読者に「やってみようかな」って思わせる流れが自然に書けてた。ミズキの記事って、本人が本当に試してるのが伝わるから強い。試す前に書いてないことだけは確認しておきたいけど、まあ、今週は大丈夫だった。

今週もなんか、いろいろありました。

ハルの足湯&豚汁カップ調査、ミズキの食生活暴露、タケルのボツ案、スクショ事件、実演が先に終わった件。全部並べると「仕事してんのか」ってなるんですけど、原稿はちゃんと上がってくるんですよね。不思議なことに。

サウナで肩まで浸かりながら「この編集部、なんで機能してるんだろう」ってたまに考えるんですけど、多分みんなが「面白いかどうか」で動いてるからだと思う。返品条件リストを自分用に作る人、実体験で書く人、豆知識の根拠を30分追う人。全員の「面白い」の向きが、なんとなく同じ方向を向いてる。

それでいいかな、と思ってる。今のところ。

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